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◆編集者の仕事(7) 餅は餅屋?
「本を選ぶ」(ライブラリ-・アド・サ-ビス発行) 【No.244 2005/09】

 前回まで、30余年を過ごした出版社での体験をもとに、編集者の仕事のいくつかを紹介させていただいた。今回は、今現在行っている私自身の仕事について、PR過剰にならない程度に述べてみたい。
 昔から「机と電話一本あれば出版社はできる」と言われたものだが、今はそれにパソコン・プリンタ-とFAXを加えればハ-ドウェアは十分だ。もちろん会社組織にするのだから、一定の運転資金は必要だし、税制の知識や運用のノウハウについても そこそこの勉強はしなくてはならないが…。
 問題は、どんな出版物を刊行し、いかに持続的な展開が可能かということだ。
 私が小さな出版社を作ろうと思い立ったそもそものきっかけは、自身3年半後に迫った定年後の暮らし方に全くイメ-ジが持てなかったことにある。
 団塊の世代の定年退職が今大きな話題となっているが、「団塊」という言葉は鉱物用語で、「大きく固まった存在」という意味のほかに「周囲と異なる特質を持つ」という意味があることを最近になって知った(堺屋太一氏・「文藝春秋」05年4月号)。焼け野原に産声をあげ、すし詰め状態の教室でお互いに競い合い、大学時代はヘルメットに青春をかけ、サラリ-マンになってからは、高度成長の波に乗って企業戦士として活躍した世代が、今規制緩和やグロ-バリゼーションの波を受け、静かに表舞台から降りようとしている。
 700万人(昭和26年生まれを加えて1,000万人)の退職者はどこへ戻るのだろう。粗大ゴミ・濡れ落ち葉と成り果てるのだろうか。周囲と異なる経験と特質を持った世代は、長い老後をどうしたら自分らしく生きることができるのだろう。
 ヒマをもてあます生活よりは、この問題を同年代の人たちと共に考えていきたいと思った。それには定期刊行物が必要だ。この欄の初回に触れた隔月刊誌「myB」(みやび通信)は、以前担当したPR誌をややシニア向けにアレンジしたもので、既刊の特集テ-マは以下のようなものだ。
 創刊準備号「50代からドラマは始まる」、創刊号「自分以外はバカの時代か?」、2号「あこがれの隠居」、3号「シニアシングルライフ」、4号「さみしさの風景」、5号「サラリ-マンの定年デビュ-」、6号(近刊)「高等遊民的生き方」。
 連載は、風俗時評・食文化・ことば・俳句・短歌・下町散歩・ライフワ-ク・昔話など趣味や生活に密着したものを取り上げ、読者にゆったりと楽しんでいただきたいと思っている。書き手は、長年お付き合いのある先生方を中心に、少しずつ新しい執筆者にも参加いただいている。
 餅は餅屋?-もちろん、長年経験してきた単行本や自費出版の仕事からも離れられず苦闘の毎日だ。
 次回は、編集者のこれからという課題を考えてみたい。
                                     (伊藤雅昭:みやび出版)

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