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『上を向いたら歩けない』が書評に取り上げられました

現在、日本では格差の拡大が社会問題になっている。従来、株式会社は資本主義の象徴とみなされて、格差を生み出すメカニズムのように考えられてきたが、実際は株式会社は階級対立の発生を緩和する役割を担ってきた。この株式会社こそ、現在の格差社会を是正する最有力の選択肢だと著者はみる。これまでは株式会社が農地を取得するのを禁止してきたが、むしろ企業が農業経営に乗り出せば、日本の農業は国際競争力のある産業として発展できるという。
 安易にグローバルスタンダードを導入するのでなく、少数民族国家としての立場を守ることを提唱するユニークな日本変革の試案。
                          (「日刊ゲンダイ」2016年1月29日号)

◆大胆な提言を含む日本論
本書は、書名からくるイメージとは違い、大胆な提言を含む日本論である。奥付にある著者の履歴を見れば、55年生まれで、東京農工大農学部卒業後、90年まで通産省工業技術院研究員を務め、その後「制度工学」とは聞きなれない言葉だが、通読して感じたことは、副題にある「失望の時代を超えて」とは、「社会科学的視線を超えて」といった含意があるといっていいように思う。(中略)「改革の最大の障害が、これまでも状況を悪化させる現実離れした処方箋を出し続けてきた、『社会科学』と称されるものである。社会科学の専門家は、社会の病理を治療できる医者ではなく、陰陽師に過ぎないのだ。」こう結論する著者の視点に、もちろんわたしも同意する。だが、わたしなら、「学」をすべての分野に拡張させてみる欲求を抑えることができない。硬直化し閉じられた「学」には「社会の病理」は治療できないと。
                (「図書新聞」2016年3月5日号、植田隆氏書評より抜粋)

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